僕の卒業①-居場所を探して- (ysy#90)
はじめに
コンにちは!よしやです。
今回は僕が高校を卒業してからのお話しを書きたいと思います。
この頃のことは、今の季節になると毎年思い出します。
今回のエピソードをマンガに描いてほしいとのリクエストをもらって、試みてみたのですが、ネーム(下書き)にまとめることも難しく、文章でならと思い書いてみることにしました。
内容が長くなりそうなので、今後何パートかに分けて書くつもりです。
よろしければ是非お付き合いください。
卒業式
高校の卒業式を終えた僕は、飛行機に乗り新天地へ向かうべく、大きな荷物を二つ抱え大阪の伊丹空港にきていた。
生まれて初めての飛行機。
僕は慣れない手つきで福島空港行きのチケットを買った。
大阪での高校三年間は、僕にとって大変なものだった。
祖母も腎不全を患い入院。
父はもともと家に寄り付かない人だった。
僕は高2まで仕送りをもらい実家でひとり暮らしをしていた。
ところがその仕送りが高2の夏、ぱたりとなくなったのだ。
仕送りがなくなったので、電話を掛けても父が電話に出ることはなかった。
だいぶ経ってから、仕送りがなくなった理由は父の会社が潰れたからだと聞かされた。
とにかく、高3のこの日まで、放課後はファストフード店で深夜まで働き食いつないできた。
そんな最中、時折自宅には地主が弁護士を連れ訪れるようになる。
「お父さんはいるかしら?」
借地代の請求だった。
僕は父以上にいい加減な男を、生まれて30年以上経った今でも見たことがない。
借地代を踏み倒そうとしているんだなと、すぐに悟った。
「ここに住み続けるのは難しそうだな。高校を卒業したら、家を出よう」
僕はそう思った。
そして今僕は空港に来ている。
行き先は福島に住む彼氏のもと。
彼とは大阪で知り合ったが、仕事の関係で地元の福島に戻ってしまったのだ。
良かったらうちに来たら良いよと彼が言ってくれた。
当時彼は23歳。
当時18歳の僕には、唯一頼れる大人だった。
初めての銀世界
初めての飛行機。
緊張のフライトは一瞬だった。
気がつくと僕は、福島空港にいた。
あたり一面の銀世界…。
僕は生れて初めて見る光景に息を飲んだ。
彼は僕を車で迎えに来てくれた。
彼と一緒に部屋を借りる予定だったが、まだ借りれていなかったので、しばらくの間彼の実家に泊めてもらうことにした。
彼はあまり嘘が上手なタイプではなかった。
実家の家族に僕のことを専門学校時代の友達だと紹介したが、何やら疑いの眼差しを向けられていることに僕は気が付いていた。
そのためか、彼の家族はなぜか僕にとてもよそよそしかった。
今思えば、もしかしたら彼の家族は彼がゲイであることにすでに気づいていて、僕のこともお見通しだったのかも知れない…。
しばらくし、彼と部屋を借り僕はファミリーレストランのアルバイトを見つけ、毎日働きにでるようになった。
徐々に彼以外のこの街の人々とも接点が生まれ、大阪にはない人情の深さを感じるようになった。
僕は、福島のこの街にやってきたのは間違いではなかったと思うようになった。
そんな矢先…。
彼に消費者金融で借りた借金が150万円以上あることが判明する。
部屋を借りる際の敷金なども、「良いよ良いよ」と全額負担してくれていたが、そのお金の出所はキャッシングだった。
とにかく節約して、少しずつでも返そう…という話しをしたのだが、なぜかこの頃ぐらいから彼の生活は荒れだし、朝方まで飲み歩いて帰ってくることもしばしば。
そして一番衝撃的だったのは、僕と彼の共通の友人と彼が浮気をしていたことだった。
さらにそのタイミングで務めていたファミリーレストランが閉店することが決定する。
職も居場所も失った僕は、福島のこの街を後にすることを決意した。
居場所を求めて
福島で半年ほど暮らしている間にできた、友達を頼って僕は仙台に行くことにした。
きっと友達は僕の状況を見て、いたたまれなくなったのだろう…。
友達は大学生で、住むところが見つかるまで居ればいいよと言ってくれた。
とにかく僕は働いてお金を貯めることを考えた。
居酒屋とコンビニを掛け持ちして、割の良い夜の時間のみ働くことにした。
夕方ぐらいに起きて、お昼前に寝る生活を数カ月続けたが、なかなか思うようにお金が貯まらない。
あまり友人に迷惑を掛けるわけにもいかないし…
そう思っていた矢先、友達が元彼と復縁することになった。
「彼氏がいる男の家に図々しく居座るのもどうなんだろう…。」
そんな思いが日に日に募り、僕はどうやって居場所を探そうかと毎日頭を悩ませるようになる。
考え込んだ僕の脳裏に、以前ゲイバーのトイレで見かけた広告の文言が蘇った。
「寮あり即入居可!一日5万円も」
それはウリセン(ゲイ向け風俗)の広告だった。
僕は恐る恐るそのお店のケータイサイトを覗いた。
最後に
続きはまた近日中に…。
今回も最後までお付き合いくださりありがとうございます。
それではまた!